夜勤を伴う交代勤務で働く人(夜勤者)は、規則的な勤務環境で働く人(日勤者)と比べて健康障害を訴える割合が高くなっています。
厚生労働省の調査では、夜勤者の約20%が健康に何かしらの障害を訴えており、その症状は胃腸障害、高血圧性疾患、睡眠障害が上位を占めています。
これらの症状は以前から「夜勤病」と呼ばれている疾患群です。
深刻な夜勤者の睡眠障害
夜勤者が抱える健康障害は、睡眠不足や睡眠障害に大きな原因があると考えられます。
夜勤者の睡眠障害は深刻で、寝つきが悪い、夜中に目が覚めるといった典型的な不眠症の症状が目立ち、その発症率はいずれも日勤者の6倍以上だと言われています。
またある調査では、夜勤者の平均睡眠時間は4.3時間と非常に短く、日勤者の7.6時間と比べて睡眠時間が大きく不足していることも分かっています。
睡眠障害を原因とする健康障害は、代表的なものとして高血圧症や心筋梗塞などの循環機能障害、記憶障害やアルツハイマー型認知症などの脳機能障害、アトピー性皮膚炎や癌などの免疫機能障害、肥満や糖尿病などの脂質代謝機能障害などが挙げられます。
中でも夜勤が原因と考えられる高血圧症は比較的若い時期から発症しやすく、発症の危険率は日勤者の3倍以上となっています。
夜勤者はなぜ睡眠障害になるのか?
睡眠は「生体リズム(体内時計)によって支配されたリズム現象」だと言われています。
私たち人間は、24時間をひとつのサイクルとしたリズムで規則正しい生活を送ることで快適な睡眠を得ることができます。
夜勤者が快適な睡眠を得られにくい理由は、24時間をひとつのサイクルとした中で規則正しい生活を送れないため、言い換えれば毎日同じ時間に規則正しく睡眠時間を確保することができないためです。
睡眠は深部体温の変化リズムや睡眠ホルモンの分泌リズムなどと深く関わっていますが、これらは24時間をひとつのサイクルとした規則正しいリズムを持っています。
不規則な勤務環境によって、睡眠の質を大きく左右するこれらのリズムと生活のリズムが同調できないため、快適な睡眠を得られにくくなってしまうのです。

日本睡眠改善協議会公認
睡眠改善インストラクター
市田商店店長 斎藤拓也
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