寝るだけで痩せられる夢のような美容法「寝るだけダイエット」がテレビや雑誌で取り上げられています。
巷にあふれる「○○だけダイエット」の多くはリバウンドがつきものだったり、健康に良くなかったりするものも多いそうですが、「寝るだけダイエット」もその類いのひとつだと早合点する前に、睡眠とダイエットの関係をチェックしてみましょう。
睡眠不足はダイエットの大敵
睡眠時間と肥満の関係について、2011年にアメリカのシカゴ大学研究チームが大変興味深い調査結果を発表しました。
「適切な睡眠時間(7時間半)を確保することにより、脂肪の燃焼を増加させるだけではなく、食欲も抑えることができる。」
シカゴ大学の調査によると、睡眠時間が5.5時間の生活をしばらく続けた場合は、睡眠時間が8.5時間の生活をしばらく続けた場合と比べて1日あたりの平均摂取カロリー量が221kcalも多くなるという結果が見られました。
221kcalを消費するためには、ウォーキング83分相当の有酸素運動が必要になります。
睡眠不足はダイエットの大敵です。
なぜ睡眠不足だと太りやすくなるのか、睡眠とダイエットの関係を詳しく見てみましょう。
睡眠時間と食欲ホルモンの相関関係
睡眠とダイエットの関係を考えるうえで欠かせないのが、食欲を司るホルモン「グレリン」と「レプチン」の存在です。
グレリンは胃から分泌されるホルモンで、グレリンが分泌されると脳の食欲中枢が刺激されて食欲が増進します。
グレリンは本来であれば空腹で体のエネルギーが不足した時にエネルギーの補充を促すため分泌されるホルモンですが、睡眠不足になるとこのグレリンの分泌量が増加することが分かっています。
一方のレプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、レプチンが分泌されると脳の満腹中枢が刺激されて食欲が抑制されます。
レプチンという名前はギリシャ語で「痩せる」を意味する「Leptos」に由来し、その名の通り肥満の抑制や体重増加の制御などの役割を果たしているのですが、睡眠不足になるとこのレプチンの分泌量が減少することが分かっています。
つまり睡眠不足の状態が続くだけで食欲が過剰に増大し、体が無意識に必要以上のカロリーを摂取しようとしてしまうのです。
寝ている間に脂肪を燃やす「成長ホルモン」と「コルチゾール」
睡眠とダイエットの関係を考えるうえで、次に欠かせないのが睡眠中の脂肪燃焼です。
私たちは眠っている間もエネルギーを消費しており、同時にエネルギーを作り出すための代謝(脂肪燃焼)が行われているのですが、ここで重要な役割を果たしているのが睡眠中に分泌されるホルモン「成長ホルモン」と「コルチゾール」です。
細胞の修復や疲労の回復などの役割を担う「成長ホルモン」や、血糖値や血圧を調整するホルモン「コルチゾール」は、どちらもエネルギーを作り出すために脂肪を分解する働きも担っています。
成長ホルモンとコルチゾールの分泌量は睡眠の質(眠りの深さと睡眠時間)によって大きく左右されますので、良い睡眠が得られないと成長ホルモンとコルチゾールが正常に分泌されなくなり、結果的に脂肪の燃焼を妨げたり、不必要な脂肪を蓄積させてしまうのです。
健康的なダイエットは良い睡眠から…

睡眠不足は肥満に直結します。
アメリカのコロンビア大学の調査によると、睡眠時間が4時間以下の人は、十分な睡眠時間と言われる7時間以上の人に比べて73%も肥満になりやすいという結果が出ています。
また睡眠時間が5時間の人は7時間以上の人と比べて50%、睡眠時間が6時間の人は7時間以上の人と比べて23%も肥満になりやすいということも分かりました。
健康的なダイエットは良い睡眠から…。
もちろん寝れば寝るほど痩せるということではありませんので、規則正しい生活と適度な運動、そして栄養バランスのとれた食生活を心がけることも大切です。

日本睡眠改善協議会公認
睡眠改善インストラクター
市田商店店長 斎藤拓也
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