どのぐらいの睡眠時間で満足できるかは個人差が大きいものですが、実際に睡眠には個人差があり、適切な睡眠時間も人によって異なります。
「8時間は寝ないとすっきりしない」という方もいらっしゃれば「4~5時間も寝れば十分」という方もいらっしゃいますが、自分でもどのぐらいの睡眠時間がベストなのかよく分からない方も多くいらっしゃると思います。
睡眠の良し悪しは翌日のコンディションに直接影響するため、ご本人が「十分に眠って疲れが取れた」と感じられる睡眠時間がその方にとっての適切な睡眠時間だと言えます。
適切な睡眠時間は人によって異なりますが、年齢によっても適切な睡眠時間は異なります。
今回は、年齢別に見た適切とされる睡眠時間に関する情報をご紹介します。
長生きする人の睡眠時間は7時間
一般的に、大人にとっての理想的な睡眠時間は7時間前後だと言われています。
「睡眠時間と寿命の関係」でもご紹介させていただきましたように、日本人の睡眠時間と死亡率の関係について約10年間追跡調査した研究によると、死亡率が最も低かったのは7時間睡眠(6.5~7.4時間)の人であるということが判明しています。
これより短くても長くても死亡リスクが高まり、特に睡眠時間が4.4時間以下の人と9.5時間以上の人は、7時間睡眠の人と比べて2倍近くも死亡リスクが高くなっています。
睡眠時間によって死亡率が変化する理由についてはまだまだ解明されていない部分が多く、この調査結果についてもあくまで「7時間前後寝ている人の死亡率が低い」という傾向であって、誰にとっても7時間睡眠がベストだということではないようです。
年齢別に見た適切な睡眠時間
健康に支障をきたさない睡眠時間が7時間前後というのは、あくまでも大人の話。
赤ちゃんや子供の場合、理想の睡眠時間は大人とは異なります。
アメリカの非営利団体「National Sleep Foundation」は、2015年に各年齢層に対して推奨する睡眠時間を以下のように発表しています。
- 新生児(0~3ヵ月):14~17時間
- 乳児(4~11ヵ月):12~15時間
- 幼児(1~2歳):11~14時間
- 未就学児(3~5歳):10~13時間
- 小学生(6~13歳):9~11時間
- 中高生(14~17歳):8~10時間
- 若年成人(18~25歳):7~9時間
- 成人(26~64歳):7~9時間
- 高齢者(65歳以上):7~8時間
18歳以上についてはほぼ一定で7~9時間程度の睡眠時間が推奨されていますが、18歳未満については長めの睡眠時間が推奨されていることがわかります。
子供に必要な睡眠時間が長い理由

なぜ、子供には大人より長い睡眠時間が必要なのでしょうか。
それは、子供の体の成長と脳の発達のためには十分な睡眠時間が必要となるからです。
子供の体を健やかに成長させるためには睡眠中に分泌される「成長ホルモン」が欠かせず、また起きている間に得た知識や情報はノンレム睡眠中に記憶として脳内に定着させています。
十分な睡眠がとれずにいると、成長ホルモンが不足して身体の成長が遅れる原因になるばかりか、脳内での知識や記憶の定着が不十分になって知能の発達にも影響が出る恐れがあります。
現代の子供は塾通いや親の生活リズムの影響などで就寝時刻が遅くなる傾向があり、その結果、睡眠時間が推奨される時間よりも短くなってしまっているケースも多く見られるようです。
子供が十分な睡眠をとれるような生活リズムを、家族も協力して作り上げていきたいですね。

日本睡眠改善協議会公認
睡眠改善インストラクター
市田商店店長 斎藤拓也
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