快適な睡眠を得るためには「心身のリラックス」と「快適で体に合った寝具」だけでなく、寝る時の服装も重要になります。
寝る時にパジャマに着替えることは、ゆったりリラックスできて寝汗やムレによる不快感を取り除くだけでなく「入眠儀式」「スリープセレモニー」のひとつとしても睡眠の質に大きな影響を与えます。
今回は、パジャマが睡眠に与える効果をご紹介します。
「入眠儀式」「スリープセレモニー」とは?
株式会社ワコールが2012年に実施した『睡眠に関するアンケート調査』によると、「毎晩睡眠前に必ず行なう行動がある」と回答した人は82.4%にも及んでいます。
実際に行っている行動は「トイレに行く」「歯を磨く」「パジャマに着替える」といった日常的なものばかりですが、寝る前の決まった行動には心と体を落ち着けて眠る準備を整えてくれる効果があり、これを「入眠儀式」または「スリープセレモニー」と呼びます。
上記の行動以外にも「軽い体操をする」「ゆったりとした音楽を聴く」「本を読む」といった行動も立派な入眠儀式になり、入眠儀式を行うことで脳が「今から寝るんだな」と自然に睡眠モードに切り替わり、寝つきが良くなると言われています。
パジャマと眠りに関する共同実験
「パジャマに着替える」という行動は、大変効果的な入眠儀式のひとつです。
パジャマは睡眠を象徴するツールのひとつですから、毎晩パジャマに着替えることによって心と体が上手に睡眠モードに切り替わると考えられています。
株式会社ワコールとオムロンヘルスケア株式会社は、2013年に『パジャマと眠りに関する共同実験』を行ない、普段パジャマに着替えずに寝ている人がパジャマに着替えることによってどれくらい睡眠に違いが出るのかということを調べました。
この実験によると、実験に参加した人の普段の寝付くまでの時間は平均47分でしたが、パジャマに着替えた場合の寝付くまでの時間は平均38分とパジャマを着ただけで寝付くまでの時間が9分も減少したそうで、また夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」の回数もパジャマに着替えることによって約15%も減少したそうです。
さらには、寝付きにかかる時間と中途覚醒の時間を除いた実質的な睡眠時間の割合「睡眠効率」は、パジャマに着替えた時の方が約3%アップしたという結果も発表されています。
どんなパジャマを選べばいいの?
快適に眠るためには、パジャマは
- 汗を吸い取る吸湿性の高いもの(綿素材やシルク素材など)
- 袖口や裾口がゆったりしていて体を締め付けないもの
- 肌触りのやさしいもの
を選ばれると良いでしょう。
私たちは眠っている間も体温調整のためにコップ1~2杯の汗をかいています。
スポーツ系ジャージーなどポリエステル100%の素材は汗を十分に吸収することができないため、快適な睡眠に大切な体温調整(深部体温の低下)を効率よく行うことができません。
綿素材などの吸湿性の高いパジャマは寝汗を素早く吸収して体温調整を助けるだけでなく、布団の中の湿度を快適な状態に保ってくれます。
寝苦しい夏場でも、寝汗を効率よく吸収するためには半袖・半ズボンよりも生地の薄い長袖・長ズボンのパジャマの方が良いでしょう。
また体を締め付けるパジャマは心と体のリラックスを妨げるだけでなく、快適な睡眠に大切な「寝返り」がうちにくくなってしまいます。
寝る時の服装を見直すだけで、睡眠の質が良くなるかもしれません。
寝る時は、ぜひパジャマをお召しになってください。
日本睡眠改善協議会公認
睡眠改善インストラクター
市田商店店長 斎藤拓也